きのう いらっしってください。

きのうの今ごろいらっしってください。

そして昨日の顔にお逢いください、

わたくしは何時も昨日の中にいますから。

きのうのいまごろなら、

あなたは何でもお出来になった筈(はず)です。

けれども行停(いきどま)りになったきょうも

あすもあさっても

あなたにはもう何も用意してはございません。

どうぞ きのうに逆戻りしてください。

きのういらっしってください。

昨日へのみちはご存じの筈(はず)です、

昨日の中でどうどう廻りなさいませ。

その突き当りに立っていらっしゃい。

突き当りが開くまで立っていてください。
威張れるものなら威張って立ってください。

 

                     室生犀星

 

かくして、「フリーウェイダンスフェスティバル 2017」。

 

さて、いきなりですが・・・・。
大トリの「JAZZ-05」しかあんまり記憶残ってないです・・・。
今回のは、ここ最近では傑出しているのではないでしょうか。

「おや、珍しく『ジブリ』を持ってきたね? ふふん」と思っていたらトンデモナイ。

曲に対して、動きや表現の情報量の詰込みがすごすぎて、それでいて破綻をきたしていない。
なんという密度の高さだろうか・・・・。もちろんToshimi先生の手腕もさることながら、その要求に対して答えられているクラスの人もすごい。もちろん舞台上の光などの演出も素晴らしいものがありました。

 

 

ましてジブリ。いやいや、まさかの「アシタカせっ記」をもってくるとは。
普通はもってこない。踊るのには難しすぎるでしょう、これは。
どちらかといえばコンテンポラリー的なノリがあります。
それを見事な正統派ジャズで仕上げてしまうという・・・・・。
あの有名なオープニングの低音のシーン。
これから舞台でどういう展開になるのか、久しぶりにワクワクさせられました。

音に対して「無我」であるとは言い切れないが、脱俗超世・・・・ライブで観るからこそのモノ。
改めて知る、我を出す無意味さを。

「ワレを見よ、ワレを見よ。」

そんなもの、飾りにもならんのです。

うーむ、素人っぽくて申し訳ないですが、「凄いなぁ・・・」としか言えません。

実は私、今回初めての「遅刻」でして、たまたま休憩時間に入ることが出来ました。
なんとかTAPはギリギリ間に合ってセーフ。
慌ててチケットの半券を切ってもらうのを忘れてました。

ということで、ドエライ遅刻の上に大トリのJAZZ05に個人的な賞を総ナメされているので記憶内容的にはすごく薄いですが、いちおう印象に残っているトコだけ書いておきます。

えーと、私ごときが超絶「上から目線」でたいへん失礼いたしますが、今回の「ナンバー1」ドレッサー大賞は該当ナシでございます。

前半を全く見ていないので公平性の欠片もないのですが、全体的に手堅くいきすぎて「冒険心」に欠けたところが残念でした。
個性に走り過ぎるのを恐れた感じでしょうか。
思い切りがないので、そこはズバッとした大胆な切れ味が欲しかったですね。

TAP(adv.)は今回はシンプル。変化球なしの正攻法できましたね。
さすが上のクラスと言ったところです。

TAP(beg.)はやはりお盆の音がインパクトありました。
最後列の席まで聞こえていましたよ。私もクラスに出ていただけに感慨深いものがあります。
やや緊張気味だったのが惜しかったでしょうか。

その構成がいたく気にいってしまったのがStylishBallet(inter.)です。
やはり耳目を集めるのは2曲目でしたが、その構成というか、妙にハマるんですよね。
ややもすれば機械的な位置取りというかなんというか。

HOUSE(NAS)&(YUJI)。
HOUSEは未経験ながら、見ていてちょっとやってみたくなったのは今回が初めて。
その動き、果たしてどういう身体操作なのか? 興味が湧きました。

Hiphop(BON)の出場者はなんと2人ですか。
私も昔、2人や3人だったことがありましたが、このハートの強さはすごいです。
2人だと舞台が広い広い・・・・・・。

臆することなくBON先生の世界観を体現していく様は観ていて心が奮い立ちます。

 

そしてJAZZ-05を経て、フィナーレ。
解放感と達成感に満ち溢れたひと時。

見事だった、頑張った、やり遂げた、・・・etc、万感の思いが舞台にも客席にも満ち溢れる瞬間でもあります。

言葉を超えて調和できる、深い深い感覚の世界。連帯感や一体感、カタルシスの形成。
いつでもここは変わらないのです。

 

 

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

                茨木のり子